昇給率は、昇給後の給与から昇給前の給与を引き、その差を昇給前の給与で割って100をかけると求められます。65,000ドルから68,000ドルに上がった場合、**昇給率は4.62%**です。下の計算ツールでは、昇給率・昇給額・昇給後の給与のどれか1つを入力すると残りの2つが自動で計算され、税引き後の変化も表示されます。
昇給率を求める3つの計算式
昇給に関する計算は、次の3パターンのどれかです。どれも昇給前の給与を基準にします。
| 分かっている値 | 求めたい値 | 計算式 |
|---|---|---|
| 昇給前と昇給後の給与 | 昇給率 | (昇給後 − 昇給前) ÷ 昇給前 × 100 |
| 昇給前の給与と昇給率 | 昇給後の給与 | 昇給前 × (1 + 昇給率 ÷ 100) |
| 昇給前の給与と昇給率 | 昇給額 | 昇給前 × 昇給率 ÷ 100 |
例1:内定通知・提示額から昇給率を出す
昇給前の年収65,000ドル、昇給後の年収68,000ドルの場合:
- 昇給額:68,000ドル − 65,000ドル = 3,000ドル
- 昇給率:3,000ドル ÷ 65,000ドル × 100 = 4.62%
例2:昇給率から昇給後の給与を出す
年収60,000ドルで3.5%昇給した場合:
- 昇給後の年収:60,000ドル × 1.035 = 62,100ドル
- 昇給額:年間2,100ドル
割る数は必ず昇給前の給与です。昇給後の給与で割ると、3,000ドル ÷ 68,000ドル = 4.41%となり、実際より昇給率が小さく見えてしまいます。
同じ率で減給・昇給しても元に戻らない理由
それぞれの率は異なる金額を基準にしているため、10%減給した後に10%昇給しても、元の99%にしか戻りません。1,000ドル → 900ドル → 990ドルです。900ドルから1,000ドルに戻すには、11.1%の昇給が必要です。
時給・月給・年収での昇給
労働時間が変わらなければ、昇給率は時給・月給・年収のどれで計算しても同じです。金額は、1年あたりの支払い回数に応じて変わります。
| 支払い単位 | 1年あたりの回数 |
|---|---|
| 年収 | 1 |
| 月給 | 12 |
| 隔週払い | 26 |
| 週払い | 52 |
| 時給(フルタイム) | 2,080時間 |
例:時給の昇給
時給25.00ドルから26.50ドルに上がった場合:
- 昇給率:1.50ドル ÷ 25.00ドル × 100 = 6%
- 年2,080時間で換算した年間の昇給額:1.50ドル × 2,080 = 3,120ドル
例:月給の昇給
月給2,500ドルで4%昇給すると、月100ドル、年間1,200ドルの増加です。ただし、日本でよくあるように賞与(ボーナス)を「基本給の○か月分」として決めている会社では、昇給によって賞与も増えることが一般的なため、年間の増加額は「月の昇給額 × 12」より大きくなることがあります。賞与の算定方法は会社によって異なるので、就業規則や給与規程で確認してください。
昇給分がすべて手取りにならない理由
昇給分には、平均税率ではなく限界税率(所得のうち最後の1ドルにかかる税率)で税金がかかります。計算ツールの米国向けの前提(2026年の連邦税率区分、単身申告、FICA、州税なし)で計算すると、次のようになります。
| 現在の年収 | 昇給率 | 昇給額(額面) | 手取りの増加額 | 税金に回る割合 |
|---|---|---|---|---|
| 60,000ドル | 10% | 6,000ドル | 4,821ドル | 19.65% |
| 60,000ドル | 3.5% | 2,100ドル | 1,687ドル | 19.65% |
| 100,000ドル | 5% | 5,000ドル | 3,518ドル | 29.65% |
年収60,000ドルの場合、増えた分には連邦所得税12%の区分とFICA 7.65%がかかるため、昇給分の約19.65%が税金になります。年収100,000ドルでは増えた分が22%の区分に入るため、約29.65%が税金です。州税や地方税がかかる地域では、さらにその分が差し引かれます。給与から何が差し引かれるかの全体像は、手取り給与の計算方法を参照してください。
税率区分が上がるだけで、昇給によって手取りが減ることはありません。 上の区分に入っても、高い税率がかかるのはその区分に入った部分だけです。年収60,000ドルの例では、平均税率は16.02%から16.35%に上がりますが、手取りは4,821ドル増えます。ただし、所得制限が厳密に決まっている給付や支援制度は別の問題で、まれに正味の増加額を減らすことがあります。
米国以外の場合: 計算ツールをカスタム税率に切り替えてください。昇給前と昇給後の両方の給与に同じ一律の税率が適用されます。昇給分のうちいくら手元に残るかだけを知りたい場合は、限界税率(所得税の最高区分の税率に、その所得にかかる社会保険料率を足したもの)を入力します。累進課税の多くの制度では、全体の平均税率を使うと昇給分にかかる税金を少なく見積もってしまいます。日本の場合、昇給分には所得税・住民税に加えて社会保険料もかかります。社会保険料は標準報酬月額の等級が上がると増えるため、昇給のタイミングによっては手取りの増え方が一時的に小さく感じられることもあります。
実質昇給率:インフレを考慮する
昇給で買えるものが増えるのは、昇給率が物価上昇率(インフレ率)を上回る場合だけです。正確な計算式は次の通りです。
実質昇給率 = (1 + 昇給率) ÷ (1 + インフレ率) − 1
仮にインフレ率を3%とすると:
| 名目の昇給率 | 実質昇給率 |
|---|---|
| 2% | −0.97% |
| 3.5% | +0.49% |
| 5% | +1.94% |
簡易的には「昇給率 − インフレ率」(3.5% − 3% ≈ 0.5%)で近似でき、数値が小さいうちはこれで十分です。インフレ率は自分の国の数値を使い、昇給と同じ12か月間のものを使ってください。
昇給率の目安はどのくらい?
万人に当てはまる数字はありません。以下の最近のデータは、それぞれ測っているものが異なるため単純比較はできませんが、おおよその幅を知る参考になります。
- 日本: 連合の2026年春闘の最終集計では、賃上げ率は5.01%でした。ただしこの数字には定期昇給(定昇)が含まれており、ベースアップ(ベア)に当たる部分は3.50%です(連合、2026年7月)。定昇は年齢や勤続年数に応じた賃金カーブ上の上昇で、ベアは賃金水準そのものの引き上げです。また、春闘の数字は連合に加盟する労働組合の集計値です。そのため、自分の昇給率を春闘の見出しの数字とそのまま比べることはできません。
- 台湾: 行政院主計総処(DGBAS)のデータによると、2025年の平均経常性給与(毎月の定期的な給与)は3.09%増加し、消費者物価は1.66%上昇しました(経済日報、中国語)。
- 米国: 米国企業を対象としたMercerの調査では、2026年の平均メリット昇給(評価に基づく昇給)は3.2%、昇給予算全体は3.5%と予測されています(HR Dive、2025年12月)。
これらは平均値や予算であり、個人の昇給を約束するものではありません。実際の昇給は、評価、業界、職種、地域の労働市場によって変わります。昇進や転職では、毎年の定期的な昇給より大きく上がることが多いですが、その幅は人によって大きく異なります。
昇給は複利のように積み上がる
毎年の昇給は、前年の昇給を含んだ給与に対してかかるため、小さな差が年々大きくなります。年収60,000ドルから始めた場合(税引き前・名目額・例示):
| 毎年の昇給率 | 1年後 | 5年後 | 10年後 |
|---|---|---|---|
| 3% | 61,800ドル | 69,556ドル | 80,635ドル |
| 3.5% | 62,100ドル | 71,261ドル | 84,636ドル |
| 5% | 63,000ドル | 76,577ドル | 97,734ドル |
毎年3%と5%の差は、1年後には1,200ドルですが、10年後には約17,100ドルに広がります。そのため、同じ金額の一時金(一回限りのボーナス)を交渉するより、基本給を交渉する方が影響が大きくなりやすいのです。一時金は一度きりですが、上がった基本給はその後のすべての昇給に引き継がれます。
よくある間違い
- 昇給後の給与で割る。 基準は常に昇給前の給与です。
- 「%」と「%ポイント」を混同する。 昨年3%、今年4%の昇給なら、差は1%ポイントであって、1%増ではありません。
- 支払い単位が違うまま比較する。 求人や条件を比べる前に、両方を同じ単位(年収が分かりやすい)にそろえましょう。
- 昇給分に平均税率を使う。 昇給分には限界税率がかかり、一般的に平均税率より高くなります。
- 労働時間を見落とす。 時給制の新しい仕事で労働時間が減ると、時給が上がっても年収は下がることがあります。
まとめ
- 昇給率 = (昇給後 − 昇給前) ÷ 昇給前 × 100、昇給後の給与 = 昇給前 × (1 + 昇給率)
- 労働時間が変わらなければ、昇給率は時給・月給・年収で同じ
- 手元に残るのは、昇給分から限界税率分を引いた額。上の税率区分に入っても手取り全体は減らない
- インフレ率を差し引くと実質的な昇給率が分かる
- 昇給は積み上がるため、長期的には同じ金額の一時金より基本給アップの方が価値が大きい